NASや外付けHDDの寿命を延ばそう |
最近ではNASや外付けHDDを使っている人も増えたため、壊れたという話もよく聞くようになりました。
ここではなぜNASや外付けHDDが壊れるのか、どうすれば壊れにくくなるのかを解説します。
HDD自体の寿命は5年程度と言われていますが、ここでお話しするのはNASや外付けHDDのHDD部分ではなく、基本的に回路側であるということです。
HDD部分については使用者の使い方にもより、中には電源が入っているにも関わらず、乱雑に動かしたりする人もいます。
その場合は明らかにその人個人の問題です。
これについては実験:HDDってどれくらいの衝撃で壊れるの?をご覧下さい。
しかしHDD自体についても関係することでもあります。
HDDの速度と壊れやすさの関係もご覧ください。
NASや外付けHDDはほとんどの場合ケースに入れられていて、特に最近ではファンの付いていないものがほとんどです。
大体はアルミケースで放熱性を高めているのですが、やはりケース内は熱がこもります。
NASや外付けHDDに使われている回路はHDDに隣接する形で組み込まれ、常に熱にさらされています。
そのため、使用時間によりどんどん寿命を削り、長期間使い続けることが難しくなっています。
実際に回路上のコンデンサー(アルミ電解、固体に関わらず)が膨れてしまっている物もありますし、見た目の損傷がなくても回路が認識しない場合もあります。
上の写真は外付けHDDです。
中央のコンデンサーが完全に破裂しているのが分かります。
つまり、熱によって寿命を縮めているので、放熱さえできれば寿命を延ばすことができることになります。
私が確認した範囲だけですが、多くのNASは5年以内で何かしらの不具合が発生しています。
症状は電源が入らなくなった、アクセスできなくなった、ポートの接触不良などです。
HDD自体の不具合は記憶にありません。(中のデータが取れているため)
単純にHDDが壊れる前に回路などが壊れたということだと思います。
外付けHDDの寿命については、NASのように電源を入れっぱなしで使うものではないため、使う人によってすごく差が出ます。
そういった前提もありますが、1年そこそこで壊れたものを何台も見たことがあります。
ただこれは3.5インチの外付けHDDが主流だった頃と比べると、2.5インチHDDが使われるようになった現在では大きく異なり、現在の方が壊れている人が少ないように感じます。
とはいえHDDそのものの寿命も踏まえると、それほど長期間使えると考えずに、定期的にバックアップを取り、いつでも交換できるようにしておきたいところです。
外付けHDDで寿命を延ばすもっともお手軽な対策としては、電源を入れっぱなしにせずに使う時に電源をいれます。
外付けHDDはUSB端子からの通電により電源オンや電源オフされる物も多く、主電源をつけっぱなしでパソコンにつないでいると、パソコンの起動と共に電源オンになり、
終了と共に電源オフになるため、パソコン使用中にずっと外付けHDDの電源が入っている人も多いようです。
外付けHDDの主電源は使わないときは切っておき、使う時に電源を入れるようにすれば、実際の稼働時間を大幅に減らし、寿命を延ばすことができます。
パソコンを使っていても、外付けHDDに常にアクセスするわけではない場合に有効な方法です。
また、一度外付けHDDを起動させた場合、頻繁に電源オンや電源オフにするのは逆に負担をかけてしまうので、パソコンをシャットダウンした後、HDDの電源が切れたら電源オフにしておきます。
通常はパソコンの電源が切れると外付けHDDの電源も切れるのですが、稀に電源が切れない外付けHDDがあります。
その場合でもアクセスしていなければ電源を切っても大丈夫なので、パソコンの電源が切れたら外付けHDDの電源を切っても大丈夫です。
2.5インチの外付けHDDのような主電源の無い物の場合は、USBケーブルをつなぎっぱなしにせず、使い終わってパソコンをシャットダウンしたら、抜いておくと良いでしょう。
NASの場合は通常電源は入れっぱなしで、電源を切ることも少ないでしょう。
この場合でも、1日の業務が終わったあとや、家庭の場合誰もアクセスしない就寝時間などがはっきりしていれば、その間の使わないときだけでも電源オフにし、寿命を延ばしたいところです。
NASに外部からアクセスする必要がある場合など、1年中NASの電源を入れっぱなしにしていることもあるでしょう。
この場合は天板に穴を開ける、外せるパネルを外しておくなどが有効です。
これは、NASと外付けHDDでとても有効な寿命を延ばす方法なので全ての場合におすすめできます。(下記に続きを)
なお、NASはLinuxが使われていることも多く、特にソフトウェアRAIDで構成してあると、何かあった場合のデータの取り出しが面倒なので、NAS内のデータは全て他のPCなどに定期的にバックアップを取るのをおすすめしています。
これはNASがミラーリングタイプであってもです。
NASと外付けHDDはケースに納められているから熱によるダメージを受けるわけなので、ケースに入っていなければ環境はすごく良くなるため、電子部品の寿命も延びます。
ただその場合はまた違った問題も出てくるので、天板に穴を開けたり、パネルの一部を外したままにします。
パソコンの通風孔をぶち開けようでも書いていますが、熱は上に移動するため、天板に穴を開けたり、外すことですばらしく放熱できます。
特にNASや外付けHDDはケース内の空間が狭いため、一度温まるとケース内全体が常に高温になってしまいます。
ここで天板を外すだけで大幅にケース内温度を下げることができます。
前面や背面のパネルを外すだけでも効果があります。
天板を外した後は、ホコリや虫や何かが入ってしまわないように、換気専用のフィルターなどを貼っておくと良いでしょう。
フィルター自体は抵抗になってしまいますが、密閉されていることと比べれば遥かに放熱できます。
フィルター交換が可能な天板を作るなどもいいですね。
ファンを取り付ける場合は、電源はHDDへの供給から取れます。
その場合は消費電力に注意が必要なことと、ファンの取り付け箇所を考えるとなかなか難しく、どうしてもブサイクになってしまいます。
手間を考えると天板を外すだけの方がよほどお手軽です。
実はNASや外付けHDDのケース自体を作ってしまおうと考えたこともあって、その理由のひとつが今回の熱問題です。
もしやってみようと思うなら是非チャレンジしてみて下さい。
NASや外付けHDDは基本的に立てて使います。
書き込み中に倒してしまうと壊れることもあるため、寝かせて使う人もいますが、基本は立てて使います。
HDDに限らず円盤は寝かせているよりも立てている方が負荷が低いため、特にHDDのような高速で回転する物は余計に立てている方が寿命を延ばすことができます。
業務で使われるラックマウントのHDDケースが、立てて収納できるようになっているのはこのためです。
また、サーバー向けとされるPCケースで、HDDを立てて取り付けるようになっているのも同じ理由です。
自前でファイルサーバーなどを作る場合なども一般的なPCケースではなく、サーバー向けでHDDが立てて取り付けできるものを選ぶのもいいですね。
NASと外付けHDDの寿命や対策についてお話してきました。
寿命を延ばすもっとも効果的な方法は長時間使わないときがあるなら電源を切っておくことで、NASでは特定の時間に電源オフにできる設定や、アクセスがあった時だけ電源が入る設定があるNASもあります。
外付けHDDはそのHDDにアクセスする必要がある時だけ電源を入れるようにすることで、電源が入っている時間をかなり減らすことができます。
HDDの容量が20MBなどの頃のようなず〜っと前の話では、HDDは一度電源を入れたら入れっぱなしの方が良いと言われていた時代があって、
今もそれを信じてパソコンや外付けHDDの電源を入れっぱなしにしている人がたまにいます。
試しというわけではないのですが、趣味で使っているPCのバックアップ用に載せているHDDをWindowsの電源管理を標準のまま使っていて、
頻繁に電源が入ったり切れたりを繰り返しているのですが、それで壊れたことは今のところありません。
物理的な衝撃テストでも案外大丈夫でしたし、現在のHDDは結構強いため、「パソコンや外付けHDD、NASなどの電源は入れっぱなしが良いか、切る方が良いか」と聞かれることがたまにありますが、
「熱によって回路の方が先に壊れるので、切った方が長持ちします」と答えています。